拉致被害者奪還のために
2021.11.18
去る、11月15日。昭和52年に横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから44年が経過した。
地村保志さん夫妻・蓮池薫さん夫妻・曽我ひとみさんの5人の拉致被害者が帰国したのは平成14年のことで20年弱の年月が経過している。しかし、政府は拉致問題を「最優先課題」としながら、5人の拉致被害者が帰国してから20年近く、ひとりの帰国も実現できていない。すなわち、拉致問題は現在進行形の問題なのである。
北朝鮮による拉致被害者の早期救出を求めて、今年も11月13日、「国民大集会」が実施された。田口八重子さんの兄で、家族会代表の飯塚繁雄さんは、集会の冒頭で「われわれは諦めるわけにはいかない。なにがなんでも解決するという思いを今回、特にブルーリボンバッジにあてた。バッジとともに、皆で勢いをつけていきたい」と語った。
ブルーリボンは、北朝鮮にいる拉致被害者と家族を結ぶ「青い空」と、日本と北朝鮮を隔てる「日本海の青」をイメージしたもので、被害者の生存と救出を信じる意思表示として広く着用されているもの。
今回の集会では、ブルーリボンに関し、12月10~16日の北朝鮮人権侵害問題啓発週間中、全ての閣僚や国会議員、地方議員らのほか、多くの国民に着用を要望。初めて決議項目に盛り込んだとされている。田口さんの長男、飯塚耕一郎さんは「ブルーリボンバッジを着けていると『これは何ですか』と聞かれることがある。まだ拉致への理解が浸透していないことを実感する」と率直な思いを明かす。
決議文では、「親の世代が被害者と抱き合うことなしには、日本の怒りは解けず、支援はあり得ないことを、北朝鮮の最高指導者に伝えることが、今大切だ」と記した。親世代を中心に高齢化が進み一刻の猶予もない現状で、日本が〝一枚岩〟となる必要性は増している。
めぐみさんの母、早紀江さんはこの日のあいさつで、「娘を13年間しか育ててあげられなかったことは本当に悔しい」と、母親としての悲痛な思いを吐露。「心が結集すれば日本は変わっていく」とし、国民一丸となっての取り組みに期待感を示した。前回(昨年10月)の国民大集会では、同じ日に、めぐみさんの父、滋さんのお別れ会が催された。この1年、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、拉致問題はこれまで以上に停滞。家族の間には、「風化」への懸念が高まった。めぐみさんの弟の拓也さんは「あっという間の1年だったが、何も前進していない。いらだちが本音だ」。そして、「自分の家族が被害者だったらどうか。拉致を我がことと捉えてほしい」と改めて国民の理解と協力を求めた。
私は、1日も早い帰国を祈念しつつ、来年の2/23(水・祝)に、私の私塾「寺子屋『玉川未来塾』」主催で、映画「めぐみへの誓い」上映&トークライブを開催することとした。
北朝鮮による拉致事件を題材にした映画『めぐみへの誓い』の制作発表記者会見が令和2年2月13日、参議院議員会館で行われた。今年、その映画が上映され、多くの国民が観たことであろう。
映画の原作は「めぐみへの誓い-奪還-」という演劇。横田めぐみさんが拉致されてから2年、「北朝鮮拉致事件」をテーマにした日本映画が一本も存在しない事から企画がスタート。拉致の残酷さと実態、拉致被害者救出を世界に訴えることを目的として、昨年7月にクラウドファンディングを実施。現在までで支援参加者3,500人以上、支援総額4,850万円を超えるなど多くの方の賛同と共感を得て「本格的な映画製作」が実現することになり、3月にクランクイン、そして劇場公開となった。
監督・脚本の野伏翔氏は長い間、この問題に取り組み、向き合い、そして舞台「めぐみへの誓い-奪還-」を全国公演しては拉致被害者を救うべく啓蒙活動を行っている。そして、その時の記者会見で野伏監督は「(横田さんが)元気なうちに何とかしたいという思いがある。横田さんは、いつも電話を掛けると『はいっ!』とすぐに出てくるんです。いつ、めぐみさんが帰ってくるのかと期待して…」と声を震わせながら作品に掛ける思いを語った。監督の思いは我々の想像以上に深いのである。
そんな中、拉致被害者、有本恵子さんの母、有本嘉代子さんが逝去され、横田滋さんも令和2年6月5日に亡くなられた。被害者家族のことを思うと悲しみ深く、残念でならない。
10月2日付産経新聞で横田早紀江さんは「めぐみへの手紙」で以下のように綴っている。
北朝鮮は一筋縄ではいかない、手ごわい相手であることは重々、承知しています。でも最後は、最高指導者に被害者全員を返す決断を求め、それこそが世界の平和を導く術だと、心の底から理解してもらわなければなりません。
私たちはこれまで、日本の首相が代わるたび顔を合わせ、即時解決への訴えを重ねてきました。お父さんも家族会代表として救出運動の最前線に立ち、全国を飛び回りました。体を病み入院しても、あなたと抱き合うため、病床で必死に命の炎を燃やしました。再会の思いを果たせず、天に召されたお父さん、多くの被害者家族、そして支援者の皆さん。託された奪還の願いを実現するまで、お母さんたちは倒れるわけにはいきません。
日本では近く、大切な選挙が行われます。政治家の皆さま。遠く離れた異国の暗闇で、救いを待つ子供たちを思ってください。命の問題である拉致事件を、党派を問わず真心から議論してください。知恵を絞り、一日も早く、解決への歩みを進めてください。
新たなリーダーには、残された時間の少なさを直視し、具体的な動きにつなげていただくことを願ってやみません。拉致問題はまさに、「正念場」です。国民の皆さまもどうか拉致事件を己のこととして感じ、それに向き合う政治のありようを凝視し、解決を後押ししてください。
19年前の9月17日。無事を信じて、自宅に置いためぐみちゃんの写真に「早く帰っておいで」と声をかけました。思いはかなわず、想像を絶する長い闘いになってしまいましたが、タラップから下りてくるあなたと、笑顔で抱擁できる日が必ずやってきます。
めぐみちゃん、あともう少し、待っていてね。お母さんは最後の力をふり絞って、闘いを続けます。
涙で「めぐみへの手紙」が読めなくなった。
今朝まで元気で学校に向かっていった我が子が、突然、消息不明となり、家に帰ってこない状態を想像してみてほしい。その家族は本当に平和状態だと言えますか。戦争がない状態だけが平和な状態なのか。他国に連れ去られた拉致被害者を救えないでどうして平和だと言えるのか。そして、国民はこの問題を我がことのように捉えているのだろうか。すでに、この拉致事件を知らない世代も多く、風化していく恐れもあるのが現状です。
一方で、こういった難解な問題を真剣に考えた千葉県八街市立朝陽小学校の5年生が令和元年、産経新聞東京本社を訪れ、「横田めぐみさんへ」と題した75人分の作文を届けてくれた。作文には、被害者の帰国を強く願う思いが綴られており、小学生を指導した先生と真剣にこの問題に取り組んだ小学生に敬意を表したい。
子供を殺める親、平気であおり運転をする者、「皆がしているから自分も」と迷惑を顧みず、事の真意を考えないで行動する者など、不道徳なニュースが毎日報道される。個人の主張だけが尊重され、公の問題は無関心。本当に考えさせられる。日本は確かに豊かになった。しかし、日本人として大切な何かを失っている気がしてならない昨今である。
今回、寺子屋「玉川未来塾」で開催する「映画『めぐみへの誓い』上映&トークライブ」では、長年、この拉致問題に関わってきた、ジャーナリストの葛城奈海さんや、監督の野伏翔監督らにご登壇いただき、お話をお聞きしたいと思う。
皆さんには、本映画「めぐみへの誓い」を通じ、この問題に長い間、取り組み、向かい合ってこられた野伏翔監督の思いや、横田めぐみさん役の菜月氏、横田早紀江さん役の石村とも子氏らがトークライブを通じて話す、拉致の残酷さと実態を感じて欲しい。そして、このイベントが拉致問題解決に向けて、我がこととして捉えるきっかけとなり、拉致問題早期解決に向けて、国民の声が高まり、その一助になればこんなに嬉しいことはない。
地村保志さん夫妻・蓮池薫さん夫妻・曽我ひとみさんの5人の拉致被害者が帰国したのは平成14年のことで20年弱の年月が経過している。しかし、政府は拉致問題を「最優先課題」としながら、5人の拉致被害者が帰国してから20年近く、ひとりの帰国も実現できていない。すなわち、拉致問題は現在進行形の問題なのである。
北朝鮮による拉致被害者の早期救出を求めて、今年も11月13日、「国民大集会」が実施された。田口八重子さんの兄で、家族会代表の飯塚繁雄さんは、集会の冒頭で「われわれは諦めるわけにはいかない。なにがなんでも解決するという思いを今回、特にブルーリボンバッジにあてた。バッジとともに、皆で勢いをつけていきたい」と語った。
ブルーリボンは、北朝鮮にいる拉致被害者と家族を結ぶ「青い空」と、日本と北朝鮮を隔てる「日本海の青」をイメージしたもので、被害者の生存と救出を信じる意思表示として広く着用されているもの。
今回の集会では、ブルーリボンに関し、12月10~16日の北朝鮮人権侵害問題啓発週間中、全ての閣僚や国会議員、地方議員らのほか、多くの国民に着用を要望。初めて決議項目に盛り込んだとされている。田口さんの長男、飯塚耕一郎さんは「ブルーリボンバッジを着けていると『これは何ですか』と聞かれることがある。まだ拉致への理解が浸透していないことを実感する」と率直な思いを明かす。
決議文では、「親の世代が被害者と抱き合うことなしには、日本の怒りは解けず、支援はあり得ないことを、北朝鮮の最高指導者に伝えることが、今大切だ」と記した。親世代を中心に高齢化が進み一刻の猶予もない現状で、日本が〝一枚岩〟となる必要性は増している。
めぐみさんの母、早紀江さんはこの日のあいさつで、「娘を13年間しか育ててあげられなかったことは本当に悔しい」と、母親としての悲痛な思いを吐露。「心が結集すれば日本は変わっていく」とし、国民一丸となっての取り組みに期待感を示した。前回(昨年10月)の国民大集会では、同じ日に、めぐみさんの父、滋さんのお別れ会が催された。この1年、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、拉致問題はこれまで以上に停滞。家族の間には、「風化」への懸念が高まった。めぐみさんの弟の拓也さんは「あっという間の1年だったが、何も前進していない。いらだちが本音だ」。そして、「自分の家族が被害者だったらどうか。拉致を我がことと捉えてほしい」と改めて国民の理解と協力を求めた。
私は、1日も早い帰国を祈念しつつ、来年の2/23(水・祝)に、私の私塾「寺子屋『玉川未来塾』」主催で、映画「めぐみへの誓い」上映&トークライブを開催することとした。
北朝鮮による拉致事件を題材にした映画『めぐみへの誓い』の制作発表記者会見が令和2年2月13日、参議院議員会館で行われた。今年、その映画が上映され、多くの国民が観たことであろう。
映画の原作は「めぐみへの誓い-奪還-」という演劇。横田めぐみさんが拉致されてから2年、「北朝鮮拉致事件」をテーマにした日本映画が一本も存在しない事から企画がスタート。拉致の残酷さと実態、拉致被害者救出を世界に訴えることを目的として、昨年7月にクラウドファンディングを実施。現在までで支援参加者3,500人以上、支援総額4,850万円を超えるなど多くの方の賛同と共感を得て「本格的な映画製作」が実現することになり、3月にクランクイン、そして劇場公開となった。
監督・脚本の野伏翔氏は長い間、この問題に取り組み、向き合い、そして舞台「めぐみへの誓い-奪還-」を全国公演しては拉致被害者を救うべく啓蒙活動を行っている。そして、その時の記者会見で野伏監督は「(横田さんが)元気なうちに何とかしたいという思いがある。横田さんは、いつも電話を掛けると『はいっ!』とすぐに出てくるんです。いつ、めぐみさんが帰ってくるのかと期待して…」と声を震わせながら作品に掛ける思いを語った。監督の思いは我々の想像以上に深いのである。
そんな中、拉致被害者、有本恵子さんの母、有本嘉代子さんが逝去され、横田滋さんも令和2年6月5日に亡くなられた。被害者家族のことを思うと悲しみ深く、残念でならない。
10月2日付産経新聞で横田早紀江さんは「めぐみへの手紙」で以下のように綴っている。
北朝鮮は一筋縄ではいかない、手ごわい相手であることは重々、承知しています。でも最後は、最高指導者に被害者全員を返す決断を求め、それこそが世界の平和を導く術だと、心の底から理解してもらわなければなりません。
私たちはこれまで、日本の首相が代わるたび顔を合わせ、即時解決への訴えを重ねてきました。お父さんも家族会代表として救出運動の最前線に立ち、全国を飛び回りました。体を病み入院しても、あなたと抱き合うため、病床で必死に命の炎を燃やしました。再会の思いを果たせず、天に召されたお父さん、多くの被害者家族、そして支援者の皆さん。託された奪還の願いを実現するまで、お母さんたちは倒れるわけにはいきません。
日本では近く、大切な選挙が行われます。政治家の皆さま。遠く離れた異国の暗闇で、救いを待つ子供たちを思ってください。命の問題である拉致事件を、党派を問わず真心から議論してください。知恵を絞り、一日も早く、解決への歩みを進めてください。
新たなリーダーには、残された時間の少なさを直視し、具体的な動きにつなげていただくことを願ってやみません。拉致問題はまさに、「正念場」です。国民の皆さまもどうか拉致事件を己のこととして感じ、それに向き合う政治のありようを凝視し、解決を後押ししてください。
19年前の9月17日。無事を信じて、自宅に置いためぐみちゃんの写真に「早く帰っておいで」と声をかけました。思いはかなわず、想像を絶する長い闘いになってしまいましたが、タラップから下りてくるあなたと、笑顔で抱擁できる日が必ずやってきます。
めぐみちゃん、あともう少し、待っていてね。お母さんは最後の力をふり絞って、闘いを続けます。
涙で「めぐみへの手紙」が読めなくなった。
今朝まで元気で学校に向かっていった我が子が、突然、消息不明となり、家に帰ってこない状態を想像してみてほしい。その家族は本当に平和状態だと言えますか。戦争がない状態だけが平和な状態なのか。他国に連れ去られた拉致被害者を救えないでどうして平和だと言えるのか。そして、国民はこの問題を我がことのように捉えているのだろうか。すでに、この拉致事件を知らない世代も多く、風化していく恐れもあるのが現状です。
一方で、こういった難解な問題を真剣に考えた千葉県八街市立朝陽小学校の5年生が令和元年、産経新聞東京本社を訪れ、「横田めぐみさんへ」と題した75人分の作文を届けてくれた。作文には、被害者の帰国を強く願う思いが綴られており、小学生を指導した先生と真剣にこの問題に取り組んだ小学生に敬意を表したい。
子供を殺める親、平気であおり運転をする者、「皆がしているから自分も」と迷惑を顧みず、事の真意を考えないで行動する者など、不道徳なニュースが毎日報道される。個人の主張だけが尊重され、公の問題は無関心。本当に考えさせられる。日本は確かに豊かになった。しかし、日本人として大切な何かを失っている気がしてならない昨今である。
今回、寺子屋「玉川未来塾」で開催する「映画『めぐみへの誓い』上映&トークライブ」では、長年、この拉致問題に関わってきた、ジャーナリストの葛城奈海さんや、監督の野伏翔監督らにご登壇いただき、お話をお聞きしたいと思う。
皆さんには、本映画「めぐみへの誓い」を通じ、この問題に長い間、取り組み、向かい合ってこられた野伏翔監督の思いや、横田めぐみさん役の菜月氏、横田早紀江さん役の石村とも子氏らがトークライブを通じて話す、拉致の残酷さと実態を感じて欲しい。そして、このイベントが拉致問題解決に向けて、我がこととして捉えるきっかけとなり、拉致問題早期解決に向けて、国民の声が高まり、その一助になればこんなに嬉しいことはない。