強まる中国の反日感情への懸念
2025.08.26
元駐中国日本大使の埀秀夫氏が、8月25日付の産経新聞に中国で「憎日」感情がさらに高まることが懸念されるとのコラムを寄せている。

「中国では7月、旧日本軍による南京占領を題材にした映画が公開された。誇張や非科学的主張が目立つこの映画を見た幼児が、世界地図上の日本を物でたたき続けたり、宝物であったウルトラマンのカードを引き裂いたりする動画がネットに氾濫している。さらに、中国当局は『抗日』キャンペーンの効果を上げるよう、旧日本軍の関東軍防疫給水部(通称731部隊)を主題にした映画の公開日程を9月18日(満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日)に変更した」と。そして、「すでに恐れていたことが起きている。江蘇省蘇州で7月末、邦人女性が襲われ負傷した。今からでも遅くない。中国への赴任は単身に限り、帯同している家族は可能な限り帰国するよう、日本政府は適切なアドバイスを出すべきである」と警鐘を鳴らしている。「愛国教育は以前からあったが、当時の中国は一部の軍国主義者(悪)と他の多くの日本人(善)を分ける『区分論』を、対日工作として戦略的に採用していた。当時多くの日本人がこの『区分論』に乗せられたのだが、『中日友好』に救われた気分になったのも事実で、これが70%超の対中親近感の背景にあった。だが、今の中国当局にそうした高等戦術はなく、日本人はすべて悪い式の教育や宣伝が行われている。『日本人学校でスパイを養成している』の類いで、児童を含む在留邦人が狙われるようになったゆえんだ」とも寄稿している。

中国に対して、その国の意向に沿うような過度に友好的・従属的な態度を取る石破政権の「媚中政策」が、中国の「憎日」感情を高める世論戦に転じてきるように思うが、皆さんはいかが思うか。

『「南京事件」の総括』という書籍がある。著者は松井石根大将の秘書を務めた田中正明氏。「南京大虐殺なんて嘘だ」と「謀略に決まっている」と感情的に決めつけている人もいるのだが、できるだけ一次資料に基づいて事実を見極めようとする、この本の内容は非常に説得的であり、少なくとも南京大虐殺はなかったと明らかに分かる。同時に私はその立場にいる。
藤岡信勝氏は、これだけ読めば、南京虐殺など無いことが明確に分かると言わしめた本でもあり、また、水間政憲氏によれば、本書が日本で出版されると同時に、中国政府の内部資料として中国の世界知識出版社が翻訳していたという。それだけ中国にとって驚異だったのであろうと指摘している。

過去にさかのぼるが、2015年10月にユネスコ記憶遺産に中国の「南京大虐殺文書」が登録された問題で、中国が登録申請の際にユネスコに提出したのは、資料の一覧と、資料を保管する7カ所の公文書館名を記しただけの目録だったことがわかった。南京文書の目録に一覧として挙げられた資料は十数種類。「南京市民の羅瑾が死の危険を冒して保存した16枚の写真」や、「大虐殺」の様子を書き留めた唯一の中国人とされる程瑞芳の日記も含まれているという。これらの資料について中国側は一方的に「虐殺の証拠」と主張していたが、多くは日本人学者らの調査によって否定されており、中国側の資料のずさんさが改めて浮き彫りになったものであった。
 世界において南京大虐殺の嘘が広く知らしめすその原動力となった故アイリス・チャン氏著『ザ・レイプ・オブ・南京』だが、その内容は嘘で塗り固められているとして1999年に発行された『「ザ・レイプ・オブ・南京」の研究-中国における「情報戦」の手口と戦略』(藤岡信勝・東中野修道共著、祥伝社)より微塵に反論されている。詳しくは、その書籍を読んでいただきたい。
 
私自身、『「ザ・レイプ・オブ・南京」の研究-中国における「情報戦」の手口と戦略』を読んだ時にも思ったのだが、そもそも初めて30万人虐殺が日本で主張されるようになったのは本多勝一著『中国の旅』(昭和47年)からである。しかし、注記として記されているにしか過ぎなかった。
 30万人虐殺説が大手を振るって歩き始めるのは、昭和57年に出た洞富雄(ほら・とみお)著『決定版南京大虐殺』からと言えよう。この頃になると、南京戦に参戦した将兵のほとんどが、社会の第一線を退いていた。それを待っていたかのように、南京虐殺を主張する声が強まっていったのである。しかし、ここまではまだ国内問題という側面が強かった。
 ところが、平成9年末に、アメリカで『ザ・レイプ・オブ・南京』が、そしてまた、南京安全地帯国際委員会委員長であったジョン・ラーベの日記が出版されるに及んで、事態は一変した。南京虐殺は国際問題へと発展したのである。かつて日本と言えば、ホンダ、トヨタ、ソニーを挙げて、優れた工業製品を思い出す外国人が多かったが、その時代、本と言えば「南京虐殺」を連想する外国人が、確実に急増したのである。
『ザ・レイプ・オブ・南京』は南京事件を題材にしながら、その狙いとしているのは、実は日本の文化と歴史の全面否定なのであった。著者のアイリス・チャンは「明治新政府が全市民の道徳規範として、武士道という武士の倫理を採用した」ことが、やがて日本軍に残虐行為を行わせることになったと論じ、つまり、南京の残虐行為の根底に、日本古来の武士道があると言う。戦後の東京裁判は、日本に戦争犯罪国家という烙印を押し、冷戦崩壊後の日本の歴史教科書は、日本の過去を一方的に断罪する傾向を強めていた。多くの嘘を事実として記したこの『ザ・レイプ・オブ・南京』は世界で大ベストセラーになり、この著書の内容を木端微塵に反論している書籍が多数発行されているにも関わらず、それを無視するかの如く、日本の嘘が世界に広まっていたのが現状であり、南京事件について間違った歴史認識が独り歩きをしている現状は下火になってきたかと思っていた。まして、欧米をはじめとする国々では、「戦勝国史観の見直し」が進められてきたにも関わらずである。

私自身の私見ではあるが、今回の中国の「憎日」運動について、さらなる歴史認識問題に対する世論戦を仕掛けてきたと思っている。その目的は保守層の分断。現に、石破首相の辞任問題をきっかけとする自民党内の分断(?)、そして世論の分断が目的のように思う。そして、それに呼応するかの如く、オールドメディアはこぞって分断を煽る報道を繰り返す。

もし、その私見がその通りだとすれば、石破首相はその分断を避けるためにも、早々に辞任すべきだというのが私の考えである。
「自らの運命は自ら決めるということは、孤独な存在であることを引き受ける強さがなければ成しえない。しかし、誰かのいいなりになって生存を全うすることが個人の人生においえも幸せなことでしょうか。あるいは国家においてそうした境遇に至ることが望ましいか」。

石破首相のエゴのために日本国が、日本国民が苦しみ、蟻地獄のように過去の間違った歴史認識によって貶められ、また世論戦に乗じていくことは看過できないのである。
2025.08.26 13:30 | 固定リンク | その他

TOP