自民党総裁選について
2021.09.30
 今回は自民党総裁選について(9月30日寄稿)。政局について語るのは自分としては本意ではないのだが、今回は触れることとした。

 9月29日、自民党総裁選で岸田文雄前政調会長が新総裁に選ばれた。

 まずは、菅義偉首相については、首相就任後、1年余りにわたり、コロナ対策をはじめ、デジタル庁、安全保障環境、皇位継承問題など、日本にとって、とても重要な案件を、日本が歩むべく道に方向性を示してくださり、心から感謝を申し上げたい。そして、お疲れ様でした。

 今朝の産経新聞にとても大切で参考になる記事が多いので、所々、引用させていただきたい。

 今回の総裁選は、政策通の4人が、激しい論戦を繰り広げ、とても良い総裁選であったと感じた。その中でも、高市早苗前総務相、そして、私とは考え方は違うが野田聖子幹事長代行には、堂々と自分の政治信念を貫き、持論を展開し、立派に戦い抜き、政治信念を曲げた河野太郎ワクチン担当相と大きな差を良い方に感じた。
野田氏は、リベラル色は強いが、しっかりと政策論争ができるし、野田ファンが多いということも納得できるし、実感できた。
高市氏は次につながる敗戦でもあった。特に、本命視されていた河野氏の得票を、議員票で28票も上回ったのは予想外だった。また、結果報告会に出席した安倍晋三前首相が「私たちは高市氏を通じて、本来自民党はどうあるべきか、しっかりと訴えることができた。他の候補にも影響を与えた」と語り、高市氏も「私は歩みを止めない。政策を磨き上げ、また次に向かって一緒に歩んでくださることをお願いする」と語った。次へと望みを繋げたのはとても大きい。

 私は、今回の総裁選に当たり、次の論点に注目していた。
①コロナ対策
②経済政策
③安全保障政策
④皇位継承問題

 特に「皇室問題」は日本国の一丁目一番地。「男系男子」による皇位継承であるべきで、先例のない「女系天皇」はあってはならないというのが、私の考えである。以前にも書いているが、皇位継承問題で大事にしなければならない原則があり、それは「①先例②男系③直系」である。この3つはどれが欠けても皇室の歴史は語れない。そして、大事なのが順番である。故に、歴史を守る方法は先例から探すべきなのだ。このことは、今後、とても重要なキーワードになるので、読者の皆様の頭にもしっかりと入れておいていただきたい。
 
 新総裁になった岸田氏は9月8日の産経新聞のインタビューで、総裁任期中に憲法改正を目指すと強調。皇位継承は「『女系天皇』以外の方法で考えるべきだ」と明言した。私としては、少し安堵した。安全保障分野では弾道ミサイルを相手領域内で阻止する「敵基地攻撃能力」の保有を主張し、安倍氏と歩調を合わせている。
とはいえ、岸田氏はリベラル色が強い宏池会の流れを汲む。本日の産経新聞には「岸田派内には、こうした安保政策に懸念の声があり、保守勢力が警戒する選択的夫婦別姓への賛成論も根強い。対応を誤れば総裁選勝利の原動力となった保守勢力が離れる可能性がある」と。岸田派は46人にとどまり、党内第5派閥。岸田氏を支える勢力としては少数派である。派閥外にも協力者を募らなければ、政権は維持できないだろうと考える。そのためには、安倍・麻生両氏の協力を求めることは必要不可欠であろう。

 まずは10月24日投開票の参院静岡、山口両選挙区の補欠選挙、そして11月までに行われる衆院選を勝利に導き、総裁選での訴えを着実に実現し、支持基盤を盤石にすることが急務となる。

 一方の河野氏は「女系容認派」で、しかも、年金、安全保障などに関する曖昧な発言だけでなく、テレビ出演時などで見せたすぐキレる姿や高飛車で乱暴な口の利き方には、観ていて不愉快になったことだけでなく、平成24年の総裁選で、当初は本命候補だった石原伸晃元幹事長が、軽い発言で失速していったのと重なってみえた。そして、失速。ある意味、当然と言えば当然だが、全国の党員党友票が一番であることに違和感を覚えている。はたして、どういった種の自民党員なのか。リベラルなのか、保守なのか。構成員の種別を知りたい。

 高市氏の総裁選出馬はある意味、「河野氏潰し」でもあり、「自民党保守路線の立て直し」でもあったのではないかと感じる。「阿比留瑠比の極言御免」での言葉を引用させていただくと、「選対本部に入るなど表立つことはせずに、高市氏を支援した安倍晋三前首相は数日前、周囲に語った。『高市さんは自分で運をつかんだ。彼女は私と勉強会をしていたことや、私にもう一度総裁選に出るよう要請して断られたことを、あえて(8月26日のBS日テレ番組で)明らかにした。それにより、行き場を失っていた岩盤保守層の支持を集めた』。それまでの安倍氏は、総裁選候補がリベラル派ばかりになることを危惧していた。直近の衆院選に向け、ただでさえ自民党から心が離れる傾向にあった保守層が、ますますそっぽを向きかねないからである。ただ当初は、高市氏が総裁選出馬に意欲を示していることについては『彼女は他の議員との付き合いが薄い』と述べるなど、必ずしも積極的だったわけではない。それが自ら党所属議員らに電話をかけて高市氏支持を呼び掛けるほど熱心になった理由の一つは、8月下旬の段階から『本気で勝ちにいく』と述べていた高市氏の決意が伝わったからだろう。実際、総裁選の討論会などでの高市氏の保守的な政策発信は、他の候補にも一定の影響を与えた」。

 高市氏の今後に期待を大きくするが、阿比留瑠比論説委員兼政治部編集委員も書いているように「他の議員との付き合いが薄い」と人脈に難を覚える。官僚も含め、今後のためにも人脈作りに精を出していただきたい。そして、評論家の江崎道朗氏も自身のSNSで、「本格的な高市政権を目指すならば、今回は、党務に専念し、政権構想を煮詰める準備を進めた方がいいように思います」と言っている。私も同感である。今は焦らず、次を見据えて強固となる地盤作りをしていただきたい。

 こうして岸田新総裁になり、次の衆院選挙はご祝儀選挙であると考えるが、議席は落とすことは免れないだろう。しかし、菅政権時のような激減ではなかろう。ただ、問題は来年7月の参議院選挙。参議院選挙は常に苦しい選挙戦を展開している。ここで勝利しなければ、衆参ねじれ現象をおこし、念願の憲法改正は、また一段と遠ざかる。岸田新総裁の手腕が問われる。

10月4日召集の臨時国会で首相指名選挙が行われ、宮中での認証式などを経て岸田内閣が発足する。今後の岸田内閣に期待するのは、組閣の閣僚人事もさることながら、近々の課題であるコロナ対策をはじめ、経済政策、安全保障政策、皇位継承問題、そして憲法改正をどのような方向性で進めようとしているかである。目的を明確化し、これらにどのような指針を示すのか、楽しみである。ましてや経済政策において「再分配」を唱える岸田氏が財政出動をさせ、その金の使い方をどうするかは良くない方向で目が離せない。そのためにも、日本維新の会や国民民主党がしっかりと野党の働きを示すよう、期待する。建設的でない、文句ばかりの立憲民主党はもういらないし、日本の国益にならない。
2021.09.30 09:11 | 固定リンク | その他

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